2.8兆パラメータが、無料で落ちてくる
Kimi K3の重みファイルは、誰でもダウンロードできます。サイズは2.8兆パラメータ — 公開されている中で史上最大です。DeepSeek V4は1.6兆、GLM-5は7,440億。「オープン=小さくて安いが弱い」という前提は、もう成り立ちません。どれくらいの巨体が、どれくらいの値段で、どこまでGPTやClaudeに迫っているのか。3つの図にしました。
図1: 大きさ — オープンモデルの巨大化
図1b: 見えない相手の大きさを「予想」する
クローズドの規模は非公開 — でも、外から推定する方法はあります。主なやり方は2つ。推論の経済からの逆算(応答速度・消費電力・提供コストは、動かしているパラメータ数に物理的に縛られる)と、2026年4月に出た知識容量プローブ(IKP)(事実知識は圧縮できないので、「何を知っているか」を1,400問で測ればサイズが逆算できる。既知の89モデルで較正、R²=0.917、誤差中央値1.59倍)。ここからの数字はすべて推定と予想で、公式値ではありません。
大胆予想: 「桁違いの巨大モデル」は、たぶんどこにも無い
ここからは当社(というより筆者)の予想です。クローズド勢が隠し持つモデルは、オープン最大のK3から見て1桁以内 — 「100兆パラメータの秘密兵器」は存在しないと見ています。根拠は3つ。
- 学習は時間で縛られる。パラメータを10倍にすれば必要計算量はさらに跳ね、フロンティア1回の事前学習はすでに数ヶ月+数億ドル規模。電力供給も逼迫しており、「こっそり2桁上」を作る時間も電気も、誰の決算にも見当たらない
- 大きすぎるモデルは配れない。Epoch AIの分析では、フロンティアは一度GPT-4より小さくなった実績すらある(GPT-4o≈GPT-4の1/8前後)。推論コストと応答速度が商売を決めるので、巨大化は「知識の器」が必要な分だけに抑えられる
- 秘密は漏れる。Mythos(開発コード名Capybara)は公開前に内部文書ごと漏れて~10Tと報じられた。IKPの推定でも各社トップは3〜10T帯に収束 — 半世紀分の競争の答え合わせが、みんな同じ桁に落ちている
この見立てだと、リーク報道の~10T(K3の約3.6倍)から当社予想の上限~22T(K3の約8倍)まで幅を取っても、オープンとクローズドの差は「桁」ではなく「倍」。重みが落ちてくる側が兆単位に到達した今、規模の壁はほぼ消えたことになります。外れたら、このページで訂正します。
図2: 派生のしくみ — 「安いモデル」はどう作られるか
「Flash Lite は 3.0 を量子化してファインチューンしたもの?」と思われがちですが、実際は3つの別の軸が組み合わさっています。同じ家系(例: 画像のGemini 3系)で見ると:
図3: どこまで迫ったか — 賢さ×価格(実測)
数字で見る(表)
| モデル | 総パラメータ | 稼働(MoE) | 重み | 日本語148問 | 出力単価 |
|---|---|---|---|---|---|
| GPT-5.6 sol | 非公開 | 非公開 | — | 94% | $15.0/M |
| Claude Sonnet 5 | 非公開 | 非公開 | — | 94%※ | $15.0/M |
| Kimi K3 | 2.8T | 104B | 公開(改変MIT・MXFP4) | 92% | $15.0/M |
| DeepSeek V4 Pro | 1.6T | 49B | 公開 | 89% | $1.98/M |
| GLM-5.2 | 744B | 40B | 公開(MIT) | 88% | $0.968/M |
| Qwen3.5-397B | 397B | 17B | 公開 | 87% | $2.34/M |
パラメータ数は各社公式発表(2026)。Qwenは別途「Max」系(1兆級)をAPI提供していますが重みは非公開のため表はオープン版397Bを記載。単価は当社ゲートウェイのライブ値(市場建値連動・6時間毎改定)。
まとめ
- 大きさではもう並んだ。公開重み最大のK3は2.8兆。クローズドの規模は非公開だが、「オープン=小型」の時代は終わった
- クローズドとの差は「桁」ではなく「倍」(当社予想)。外部推定(推論の電力・コスト・速度からの逆算+知識容量プローブ)ではトップ勢は3〜10T帯。隠れた100Tモデルは、学習時間・電力・リーク実績のどれから見ても無さそう
- 賢さは2〜7点差まで肉薄(日本語実務の実測)。価格はDeepSeek/GLM/Qwenが1/6〜1/15
- 安さの正体は3つの軸 — 小型設計(Flash/Lite)、量子化(K3のMXFP4)、MoE(2.8兆を保存して104Bだけ動かす)。どれも「手抜き」ではなく設計
- だからteai.ioは毎日カタログと価格を取り込み、実生成・実測で既定モデルを入れ替え続けます