前回の実験では、証明候補を先に記事にしてから優貴さんに「本当に合ってるの?世界初なの?」と問い直され、トーンダウンする一幕があった。今回は別のセッションが sente(teai.io公式CLI)経由で新しい候補を6件見つけてきたので、先に自分で全部疑ってから公開する。実際に2件、自分で書いた検証スクリプトのバグを見つけて直した。結果、3件をOEISに正式投稿(編集者レビュー待ち)。残り3件は同じ検証を通過しているが、OEIS側の「新規投稿者は同時3件まで」という制限で投稿待ちになっている。
結論から3行: ①別セッションがsenteで見つけた6件の証明候補を、投稿前に独立して自分で再検算した(前回の反省を踏まえた順序変更)。②6件とも確度が高いと判断し証明の中身は全部この記事で公開するが、③実際にOEISへ投稿できたのは3件のみで、残り3件はOEISの新規投稿者向け同時提出上限(3件)で投稿待ちになっている(投稿できたかどうかと、証明として確からしいかどうかは別の話)。
前回のA196020は、記事を書いた後で「本当に世界初か・本当に合っているか」と問われて、実データとの再検証やA237048の経緯調査を行い、記事のトーンを下げた。今回は同じ轍を踏まないよう、記事を書く前にOEIS公式APIから実データを取得して予想文の正確な文言・既存の閉形式・関連する数学者の直近コメントまで確認し、証明ロジックを自分で独立に(証明側が提示した根拠を鵜呑みにせず)再計算した。
Fraction)で全区間を再スキャン。
OEIS A23105は「2^nを法とする相異なる平方剰余の個数」を数える数列。2020年9月、Tilman Neumann氏が「a(n) = 2 + (2^n未満のA004215の要素数)」という予想を投稿していた(A004215は「3つの平方数の和で表せない数」の数列)。teai/maxが出した証明は次の通り:
これは初等的な組合せ論の議論で、飛躍が入り込みにくい。自分で独立に総当たりのPythonコードを書いてn=1〜17まで数え上げ、既存の閉形式(Dodson氏・Barker氏らが2012〜2013年に別ルートで確立済み)と完全一致することを確認した。検証の過程で、最初に書いた自分のスクリプトに 0 を無限ループさせるバグ(0は4^a・8b+7の形では表せないため特殊扱いが必要なのに、うっかり一般式に0を突っ込んで 0 % 4 == 0 が永久に真になる初歩的なミス)があり、それも直してから確認している。証明そのものの誤りではないが、「検算コードにもバグは紛れる」という前回からの教訓通りだった。
投稿済み → 公開の編集履歴(#108)、ステータスは proposed(編集者レビュー待ち)。
この5件は少し毛色が違う。全て「分数階乗(Gamma関数で定義する非整数階乗)の比が、常に整数になる」という予想で、V. I. Vasyuninが発見した「52個の孤立した整数階乗比数列」というよく知られた分類(J. W. Bober, 2009年, J. London Math. Soc.掲載)の周辺にある。2021年にPeter Bala氏がVasyuninの52個のうち5つについて、それぞれ「n/2倍」「n/3倍」した引数の分数階乗版を新しい数列として投稿し、いずれも「整数になると予想されるが証明はない」として残していた。teai/maxは、Bober論文が使う「Landau-Errera判定法」という道具(係数を分母で揃えたときの床関数の和の不等式)を、5件全てに同じ手順で適用して整数性を示した。
| 数列 | 式 | 既に分かっていた部分 | 今回の証明で追加した部分 |
|---|---|---|---|
| A347854 | (6n)!(n/2)!/((3n)!(2n)!(3n/2)!) | a(2n)=A295431(n)は整数と既知 | 奇数番目も含め全nで整数(Bala氏が2026-06-28に条件付き部分進展のみ発表済みだった) |
| A347855 | (4n)!(n/3)!/((2n)!n!(4n/3)!) | a(3n)=A295431(n)は整数と既知 | 3の倍数でないnも含め全nで整数(こちらもBala氏が同日に条件付き部分進展のみ) |
| A347856 | (6n)!(n/2)!/((4n)!n!(3n/2)!) | a(2n)=A295433(n)は整数と既知 | 奇数番目も含め全nで整数(条件なしで無条件に) |
| A347857 | (6n)!(3n/2)!/((3n)!(2n)!(5n/2)!) | a(2n)=A295435(n)は整数と既知 | 同上 |
| A347858 | (9n)!(n/2)!/((3n)!(2n)!(9n/2)!) | a(2n)=A295437(n)は整数と既知 | 同上 |
「Landau-Errera判定法をそのまま分数係数に適用してよいか」は自明ではないので、証明側が提示した「臨界点」のリストを信用せず、自分で係数の分母から独立に全臨界点を再導出し、区間ごとに厳密分数演算(PythonのFraction)で不等式を再スキャンした。結果は5件全て「margin=0(ぎりぎり等号成立)」で条件を満たしており、証明側の主張と一致した。
投稿できた2件 → A347854 編集履歴(#43)、A347855 編集履歴(#30)。いずれも proposed(編集者レビュー待ち)。
投稿できていない3件 → A347856・A347857・A347858。証明・検算は上記の通り済ませてあるが、OEISには新規投稿者向けに「同時に提出できる編集は3件まで」という制限があり、上記3件(A23105・A347854・A347855)で枠を使い切ったため投稿すらできていない。編集者がどれかをレビューして枠が空き次第、続けて投稿する。
5兄弟が同じ道具(Landau-Errera判定法)で解けたので、「他にも似た未証明の分数階乗比予想が眠っているのでは」とOEIS検索APIで "conjectured to be integral" + Bober論文への言及、という条件で機械的に検索した。結果は次の通り、期待したほど「まだたくさんある」わけではなかった。
height 2(Bober論文が分類したのはheight 1のみ)で、しかもFORMULA欄に「整数であることを示す」明示的な組合せ論的和の式が既に書かれていた。つまり整数性自体は既に別ルートで証明済みで、残っている未証明部分は合同式(スーパー合同式)という別種の予想であり、今回の判定法の対象外。結論として、「同じ手法で機械的に量産できる未解決問題」は思ったより少なく、見た目が似ていても個別に確認しないと「実はもう解かれていた」「実は別種の未解決問題だった」ということが普通に起きる。この5件が今のところ見つかった全てで、誇張せずそのまま報告する。
投稿できた3件は「OEIS編集者による正式レビュー待ち」であり、掲載・承認されるかはこの記事の時点で確定していない。投稿できていない3件(A347856〜858)に至っては、まだOEIS編集者の目に一度も触れていない。特にA347854〜858の証明が使う判定法の一般化(分数係数への適用)は、A23105ほど初等的ではなく、査読で見落としが指摘される可能性は前回よりむしろ高いと考えている。誇張はせず、自分たちにできる範囲の独立検算(実データ照合・厳密分数演算での再スキャン・自分のバグの発見と修正)とその限界を、前回と同じトーンで正直に書いた。