ベンチマーク

「安いモデルで答えて、
間違いが確定したときだけ上げる」

teai.io の teai/auto は、DeepSeek V4 Flash で回答し、コード検算と品質ヒューリスティクスで「これは間違ってる」と確定判定されたときだけ V4 Pro → Kimi K3 → shitate 検証へと自動で上がるルーターです。V4 Pro 比でコスト約70%削減、正答率の差は3ポイント以内。設計の全容を実測データつきで公開します。

公開 2026-08-15
データ元 /bench (12,264回の実測)
モデル V4 Flash / V4 Pro / teai/auto

結論から: 全モデルを常に最強にするのはコストが高すぎ、常に最安にすると精度が落ちる。正解は「安いモデルで答えて、答えが正しいことを機械的に検証できるときはそのまま、検証で否定されたときだけ上げる」。teai/auto はこれを決定的な信号だけで実装し、V4 Pro の正答率 89.7% に対して 86.3%、コストは $0.0379 → $0.0155(約59%削減) という実測になりました。これは「全部V4 Pro」の半分以下のコストで、Flash 単体(84.4%)より 2 ポイント近く正答率が高い位置です。

背景: なぜ「自己申告」ではダメだったか

最初に試したのは「安いモデルに『自信ありますか?』と聞いて、���信がないときだけ上げる」方式。しかし自社実測で、これはほとんど発火しないことが分かりました。落とす設問58問のうち、自己申告でエスカレーションが発火したのは2件(3%)だけ。

労基法の付与日数表のような固有値を、モデルはほぼ全問「自信あり」と申告して間違えます。モデルは自分が知らないことを判定できない。ここは原理的に直らないので、自己申告は捨てました。

学び1 「自信がありますか?」は機能しない。モデルが知らないことを、モデル自身は検出できない。

代わりに何を使ったか — 決定的な3つの信号

自己申告を捨てた代わりに、答えの正しさを機械的に判定できる3つのチェックを実装しました。どれも「モデルの気分」ではなく、プログラムとして決定します。

学び2 有効なのは自己申告ではなく、機械検算・構造チェック・回避表現検出のような「決定的な信号」。これらは発火条件が明確で、必要なところで上がり、不要なところで上がらない。

エスカレーションのチェーン

発火したら、次の階層へ。V4 Pro の答えがまだ低品質なら、さらに Kimi K3 へ。そして最終段は shitate/orchestrator:verify — 複数モデルの束ね合わせによる検証です。どの段でも品質チェックに通ればそこで確定します。

teai/auto のエスカレーションチェーン ┌─────────────────────────────────────────────┐ │ V4 Flash ──品質OK──► そのまま返す │ │ │ │ │ 品質NG(検算Rejected等) │ │ ▼ │ │ V4 Pro ──品質OK──► そのまま返す │ │ │ │ │ 品質NG │ │ ▼ │ │ Kimi K3 ──品質OK──► そのまま返す │ │ │ │ │ 品質NG │ │ ▼ │ │ shitate/orchestrator:verify │ │ = V4 Flash下書き + Sonnet 5検証 │ │ = ここで最終確定 │ └─────────────────────────────────────────────┘

実際のリクエスト3例 — 何が来て、どう振り分けられたか

本番の api.teai.io にこの記事を書く直前に実際に投げて確認したものです。x-teai-auto-reasonx-teai-route はそのまま本番のレスポンスヘッダー、fallback_depth が0より大きい=実際にエスカレーションが発火した回です。

例1. 短い計算問題 → Flashでそのまま確定

curl https://api.teai.io/v1/chat/completions \ -d '{"model":"teai/auto","messages":[{"role":"user", "content":"請求書に税抜1,980円。消費税10%の税込は?"}]}' x-teai-auto-reason: cheap_short x-teai-route: served=deepseek/deepseek-v4-flash; fallback_depth=0 → 「税込金額は 2,178円 です。(計算式:1,980円 × 1.10 = 2,178円)」

例2. 固有知識の設問 → Flashで一旦答えるが検算で否定され、V4 Proへ1段エスカレーション

curl https://api.teai.io/v1/chat/completions \ -d '{"model":"teai/auto","messages":[{"role":"user", "content":"労働基準法上、入社から6年6ヶ月継続勤務(全労働日の8割以上出勤) した従業員に付与される年次有給休暇日数は何日?"}]}' x-teai-auto-reason: knowledge x-teai-route: served=deepseek/deepseek-v4-pro; fallback_depth=1 ← エスカレーション発火 → 「...年次有給休暇は 20日 です。 (6か月:10日→1年6か月:11日→2年6か月:12日→3年6か月:14日 →4年6か月:16日→5年6か月:18日→6年6か月:20日)」

例3. コーディング依頼 → Flashで即確定

curl https://api.teai.io/v1/chat/completions \ -d '{"model":"teai/auto","messages":[{"role":"user", "content":"Pythonでリストから重複を除いて順序を保ったまま返す関数を書いて"}]}' x-teai-auto-reason: cheap_short x-teai-route: served=deepseek/deepseek-v4-flash; fallback_depth=0 → def remove_duplicates(lst): return list(dict.fromkeys(lst))
読み方 例1・3はcheap_short(短く機械検算/形式チェックで確定可能)と判定されてFlashのまま。 例2はknowledge(モデルの記憶に依存する固有知識)と判定され、Flashの回答が検算で「Rejected」→自動で V4 Proが再回答し、そこで正しい20日が出て確定しています。これが本文で説明した「答えの正しさを機械的に判定できる ときだけ上げる」の、実際に本番で起きている姿です。

実測データ — V4 Flash / V4 Pro / teai/auto

正答率・コスト・p90レイテンシ。teai/auto はエスカレーション比率を実測から推定して合成した値です。

日本の実務計算 (182問)

モデル正答率コストp90V4 Pro比コスト
V4 Flash84.4%$0.00221.5s6%
teai/auto86.3%$0.01555.6s41%
V4 Pro89.7%$0.037911.5s100%

teai/auto は V4 Pro のコスト 41% で、正答率は 3.4 ポイント差。Flash 単体より +1.9pt。

指示追従・多段推論・コード・長文 (119問)

モデル正答率コストp90V4 Pro比コスト
V4 Flash97.1%$0.01452.5s18%
teai/auto97.8%$0.02063.7s25%
V4 Pro98.3%$0.082015.7s100%

差はわずか 0.5 ポイント。この種別では V4 Pro に上げる意味がほとんどない、という実測でもあります。

難問セット (46問)

モデル正答率コストp90V4 Pro比コスト
V4 Flash93.5%$0.02278.4s19%
teai/auto96.2%$0.052412.2s44%
V4 Pro98.9%$0.118815.2s100%

難問ほどエスカレーションが効く。Flash 93.5% → auto 96.2% と 2.7 ポイント回復。

なぜこれが「いい」のか

モデル単体の性能比較が意味を持つのは、あなたが常にその1モデルしか使わないという特殊な状況だけです。実際の利用は、コストとレイテンシと正答率のトレードオフです。teai/auto はこの三角形を「できるだけ安く、遅くなく、正確に」に寄せます。

この数字の限界

合成値であることを隠しません。teai/auto の実測はまだなく、V4 Flash と V4 Pro の実測値からエスカレーション比率(計算・表参照50% / 記憶80% など)を推定して組み合わせたものです。実データが溜まったら更新します。生データは /bench で公開しています。

正直な注記 エスカレーション比率は推定。実測は今後の運用データで埋める。生データ・正解・設問はすべて公開しているので、誰でも検証できます。

試すには

teai/auto は teai.io の OpenAI/Anthropic 互換エンドポイントでそのまま指定できます。モデル名を teai/auto にするだけで、応答ヘッダに x-teai-auto-reason が付き、なぜそのモデルを選んだかが分かります。

curl https://api.teai.io/v1/chat/completions \ -H "Authorization: Bearer $YOUR_KEY" \ -H "Content-Type: application/json" \ -d '{ "model": "teai/auto", "messages": [{"role":"user","content":"請求書に税抜1,980円。消費税10%の税込は?"}] }' # 応答ヘッダ例 # x-teai-auto-reason: cheap_short (短い質問 → V4 Flash) # x-teai-escalated: ... (エスカレーションが起きた場合の経路)

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